山下望さんの「Window」

同じくMIO PHOTO OSAKAにて山下望さんの「Window」。ピンク色に仕立てられた壁面の空間は、写真の展示方法のほか、フレームの上に置かれたアクセサリーや壁に貼られたシールなども手伝って、女の子の部屋のようなプライベート感を演出してる。キャプションには「自身の少女時代とその魂をある12歳の少女の姿を通して写真にとり押さえる」とあった。

山下さんは主にホルガを使っているそうで、そのカメラは解像度はあまり無い方なのに、写真はいつもリアルで鮮度も感じる。情報量ではなく関係性なんだろうか。けど大きく引き伸ばしたほうの写真からは、これだけ堂々と自身をさらけ出していながら「声」が全く聞こえてこない。その静けさのベールがどこかエキゾチックでもあり魅惑的。

しかし、聞こえてこなかったと思っていた「声」は、フレームの写真の方に耳を澄ますとはじめて聴き取ることができ、そこでまた違った一面を知る。まるで舞台に立つ女優さんの、楽屋を覗き込んでいるかのような気分になるといったら少し大げさでしょうか。。

山下さんはきっとモデルの女の子と同い年ぐらいなんだろうと思う。実際はそうじゃないかもしれないけど、という点に少しの片想いもあって。いつもすぐ隣にいるのに遠距離恋愛のような。そんな不思議な距離感をもった相手への純真さが素敵。会場が少し広すぎる感もあったけど、その空間をこれだけ自分仕様にできてるのもすごい。