谷口円写真展「comfortable hole bye」

ビーツギャラリーで開催されていた谷口円写真展「comfortable hole bye」。展示に対しての直接的な感想ではないかもしれないけど、コーンの写真2枚についてはやっぱり考えた。「死」というものが主題に置かれていることもあって、赤白のコーンと真っ黒のコーンは、単純に生と死の対比のようにも見えるし、だからある意味で全体を象徴する二枚のような見方も出来る。ただそれ以上になにかひっかかるものがあって、もしかしたらそれは、観る人にとって身近なものだからなのかもと思った。

展示の大半を占めるのは剥製の写真で、でもそれはあまり身近なものとは言えない。それが良い悪いではなく、ただ剥製にはテーマを含んだものが写されているけど、身近じゃない、という事実が、観る側との間に一枚の壁を作り出していたとして。コーン二枚は、他の写真群と同じ意味を担うなかで、かつ身近にあるものということが、その一枚の壁を無効化させる突破的要素になっていたのかもと思った。おかげで、自分にもいつか必ず訪れることでありながら、やっぱりまだどこか遠くにあるように考えてしまう問題を、急に目の前にポンと差し出されたようで鳥肌が立った。

展示全体をみていて、どことなく「映像」を感じた。単純にBGM(波の音)のせいもあったのかもしれないけど、具体的になんで「映像」なのかは自分でもよくわからない。。ただ間違いなく言えるのは、写真のレイアウトや照明のこともあって、今回の展示は写真展というより、写真を使ったインスタレーションに近いものだったということ。椅子に座って眺めるという谷口氏オススメの方法で観れなかったことが残念。。