Waste thread (2014)
夜間部在学時の課題作品の一つ。当時、日中の職場だった革工房アトリエで収集した糸くずを学校のスタジオへ持ちより、撮影したもの。毎朝掃除の際、無造作にちらばったごみであるそれらが時々、得体のしれない生き物のように見えては、その形を記録し、袋に入れて保存していました。この感覚を職場の人達へ共有することを目的とし、撮影を「職場」から「スタジオ」に移したのは、職場(現場)はその「得体のしれなさ」を覆い隠し、それを「ごみ」「見慣れたもの」に変換する条件を担っていると思ったからです。
当初、あらゆるものの認識には、それを包括する条件(概念)が前提にあるとよく考えていました。例えばどんなによく知ってる職場の同僚でも、地元で遭遇するとは思わないから、真横をすれ違っても気づかないかもしれない。それは言い換えれば、認識は、それを包括する条件から導きだしている場合が多い。だからモノそのものを見ていることは、実はとても少ないのではという考えがベースとしてありました。この考えは同時期の写真「虫をさがす(Searching for insects)」とも共通しています。